Japanese
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経験と考察
ビタミンD欠乏状態の骨粗鬆症患者に対する活性型ビタミンD3投与後の血中濃度の推移
-――ビスホスホネートの効果を引き出すために
Assessment of serum 25-hydroxyvitamin D level during vitamin D3 analog therapy for osteoporotic patients with vitamin D deficiency;for improvement of the bisphosphonate analog’s efficacy
太田 孝一
1
,
杉目 史行
1
,
中郷 あゆみ
1
K. Ota
1
,
F. Sugime
1
,
A. Nakagou
1
1江別市立病院ペインクリニック麻酔科
1Dept. of Anesthesia and Pain Clinic, Ebetsu City Hospital, Ebetsu
キーワード:
osteoporosis
,
25-hydroxyvitamin D
,
vitamin D deficiency
Keyword:
osteoporosis
,
25-hydroxyvitamin D
,
vitamin D deficiency
pp.1249-1252
発行日 2019年11月1日
Published Date 2019/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei70_1249
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は じ め に
骨粗鬆症患者におけるビタミンD測定法はこれまで確立されておらず,ビタミンD欠乏症についての関心が低かったが,2016年8月からビタミンD血中濃度測定として25-ヒドロキシビタミンD[25(OH)D]測定が保険適用になり臨床的に測定可能となった.金井らの報告によると,高齢骨粗鬆症患者の80%がビタミンD欠乏症であるとされる1).ビタミンD欠乏症では,副甲状腺ホルモン濃度の上昇を助長するため,骨粗鬆症を増悪させるだけでなく,ビスホスホネート製剤などの骨粗鬆症治療薬の効果を減弱することが知られている2).筆者らは,骨粗鬆症患者にビスホスホネート製剤などの骨粗鬆症治療薬を用いても,椎体骨折の二次骨折が2年間に31%の割合で発症したことを報告した3).また,ビスホスホネート製剤を投与しても骨密度が低下し二次骨折を繰り返す症例も経験し4),この原因として,ビタミンD欠乏症が関与している可能性があると考えた.
本稿では,骨粗鬆症患者でビタミンD血中濃度測定を行い,ビタミンD欠乏症の頻度を調査するとともに,ビタミンD欠乏症と診断された症例にビタミンD3製剤を投与し,ビタミンD血中濃度の推移を検討した.
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