特集 意外と知られていない⁉ 自科の常識・他科の非常識
第10章:内分泌
1,25(OH)2D測定ではビタミンD欠乏の診断はできない
井上 玲子
1
,
井上 大輔
1
1帝京大学ちば総合医療センター第三内科
キーワード:
ビタミンD不足
,
ビタミンD欠乏
,
天然型ビタミンD
Keyword:
ビタミンD不足
,
ビタミンD欠乏
,
天然型ビタミンD
pp.694-697
発行日 2021年9月1日
Published Date 2021/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika128_694
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ビタミンDは,副甲状腺ホルモン(parathyroid hormone:PTH)とともに血清Ca濃度上昇作用を有する生理的ホルモンである.ビタミンD作用は,活性型ビタミンDである1α,25-ジヒドロキシビタミンD(1,25(OH)2D)が核内受容体であるビタミンD受容体(vitamin D receptor:VDR)に結合することにより発揮される.一方,血中に存在する主要なビタミンD代謝物は25-ヒドロキシビタミンD(25(OH)D)であり,血中1,25(OH)2Dのほとんどは25(OH)Dのごく一部が腎近位尿細管の1α水酸化酵素(CYP27B1)により水酸化されたものである.ビタミンD充足度の指標として体内のビタミンD貯蔵量を反映するのは血中の1,25(OH)2Dではなく,25(OH)D濃度である.本稿ではビタミンDの代謝とその作用の評価法について解説する.
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