今月の主題 腎疾患—早期診断から管理まで
質疑応答
腎不全の血圧管理をどうするか
小野山 薫
1
Kaoru Onoyama
1
1九州大学医学部・腎疾思治療部
pp.460
発行日 1984年3月10日
Published Date 1984/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402218946
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高血圧に伴ってみられる腎不全は,高血圧性臓器障害の1つとしての腎機能障害(腎不全)と腎臓の種々の原発性病変(例えば糸球体腎炎,腎盂腎炎,間質性腎炎,嚢胞腎,水腎症など)が進行する過程でおこってくるそれとがある.その原因がいずれによるものであれ,高血圧は腎不全を進行させる最も大きな要因であるので血圧の管理は大変重要なこととされている.
腎不全に伴う高血圧はその発生機序から2つのタイプに大別される.1つは腎不全に起因する水・ナトリウムの貯溜が,体液量増加,循環血漿量増加,心拍出量の増加を介して,全身血管の自動調節機構(autoregulation)を作動させて抵抗血管を収縮し,血圧上昇をもたらす機序が考えられている.他の1つは腎不全によりもたらされる腎の虚血がレニン分泌を促進して,抵抗血管を収縮し,血圧上昇をもたらす機序が考えられている.前者は体液量依存性高血圧(volume dependent hypertension),後者はレニン依存性高血圧(renindependent hypertension)と呼ばれている.しかし個々の症例ではこの両方の機序が種々の割合で同時に関与している.腎不全例では水・ナトリウムは程度の差はあっても貯溜傾向を示し,一方レニン・アンジオテンシン系は体液量の貯溜に伴う抑制が不充分で,そのいずれもが血圧上昇に作用するといわれる.
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