今月の主題 高血圧とその周辺
高血圧をどう取り扱うか
腎不全時の高血圧をどう取り扱うか
野村 岳而
1
1金沢大・第1内科
pp.1436-1437
発行日 1973年11月10日
Published Date 1973/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402204971
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はじめに
腎不全時の高血圧には図1のごとき場合が考えられる.まずはじめは高血圧がなく,急性・慢性腎不全の結果として高血圧を呈するもの,他ははじめに高血圧があり,そのため腎不全を呈するようになるものである.いずれの場合も高血圧の存在は腎不全を増悪し,腎不全が高血圧を助長するという悪循環を形成する.臨床上遭遇する機会のもっとも多いのは図1のI-bであり,ついで頻度はずっと少なくなるがIIである.
腎不全時の高血圧をみた場合,まず最初にその原因を正しく診断し,腎不全が不可逆性か可逆性かを判断することがもっとも大切である.たとえば急性糸球体腎炎や尿路閉塞などによる急性腎不全は可逆性のことが多く,したがって腎不全の治療が主体となり,高血圧の意義はそれ程でないこともある.しかしこのさいも高血圧性脳症・うっ血性心不全などを呈するときは降圧療法が重要であることは論をまたない.
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