臨床メモ
腸管手術時の抗生物質の予防的投与
北原 光夫
1,2
Mitsuo Kitahara
1,2
1東京都済生会中央病院・内科
2慶応義塾大学医学部・内科
pp.386
発行日 1984年2月10日
Published Date 1984/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402218924
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腸管外科において抗生物質の予防的投与が広く研究されているのは,大腸・直腸の外科の分野である.大腸の細菌はBacteroides, Bifidobacterium, Eubacter-iumといった嫌気性菌が99.99%を占め,残りのわずかな部分を,EnterococcusやEnterobacteriaceaeの好気性菌が占めている.1gの便にはおよそ108〜109位の細菌がいると計算されている.このことから,他の消化管手術に比べ,大腸・直腸外科手技により粘膜を損傷すると,術後感染症の頻度が高くなるのは当然である.大腸・直腸外科手技において,抗生物質を予防的に投与しない症例では,術後感染症はおよそ40%といわれている.
この比較的高頻度の感染症を減少させるために,局所的予防的投与,非経口的投与と経口的投与が考慮されて広く試みられている.
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