当直医のための救急手技・泌尿器系・2
腹痛(尿路外傷を含めて)
村上 信乃
1
Shino Murakami
1
1旭中央病院泌尿器科
pp.374-375
発行日 1984年2月10日
Published Date 1984/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402218920
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腹痛を主訴とする救急患者の原因疾患は大部分が泌尿器科からみると他科疾患であり,泌尿器科疾患による腹痛を訴える患者は比較的少ないようである.したがって,当直医がこの数少ない泌尿器科疾患を見落とす危険性も少なくないものと想像する.今回も,腹痛を生ずる泌尿器科疾患の鑑別診断を,前回と同様の大まかな思考経路を図示し(図2),それに従って話を進めよう.
誘因となる外傷のない場合の泌尿器科疾患による腹痛は,大部分が腎の疼痛によるものである.腎の疼痛には持続性疼痛と発作性疼痛(疝痛)があるが,いずれも尿管に沿って外陰部や大腿部,あるいは背部への放散痛を伴う例が多い.また患側の肋骨脊椎角の叩打痛(以後CVAと略す)も特徴的な症状である.
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