増刊号特集 泌尿器科画像診断
Ⅲ.疾患別画像診断
5.外傷
膀胱外傷
村上 信乃
1
,
梅原 功
2
,
磯貝 純
2
Shino Murakami
1
1国保旭中央病院泌尿器科
2国保旭中央病院放射線科
pp.277-281
発行日 1999年3月30日
Published Date 1999/3/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413902610
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1 はじめに
膀胱は骨盤内深く,外方は骨盤骨,下方は泌尿生殖器隔膜,後方は直腸によって保護されているので,他の臓器に比べると外傷は受け難いが,膀胱充満時に強い外力が加わると損傷の危険性が生ずる。本症は,損傷部が腹膜に及び尿が腹腔内に広がる腹腔内破裂と,尿が膀胱周囲に漏出する腹腔外破裂に分類される。膀胱充満時に受傷すると腹腔内破裂となり,腹腔外破裂は膀胱が空虚で骨盤骨折に伴う例が多いとされている1)。
各種事故による腹部打撲の膀胱への衝撃を原因とするものが多いが,そのほか銃創や刺創による開放性損傷や,医療従事者の経尿道操作の失敗による医原性の例もある。最近の自動車事故の増加に伴い本症は増加の傾向にあるが,腹腔内多臓器損傷や骨盤骨折の合併が多いので重篤例が多く,そのうえ見落とされやすい。
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