今月の主題 中枢神経系の感染症
中枢神経系感染症の臨床
臨床像
飯国 紀一郎
1,2
,
高木 康行
2
Kiichiro Iikuni
1,2
,
Yasuyuki Takagi
2
1埼玉医科大学
2東京都済生会中央病院・神経内科
pp.212-213
発行日 1984年2月10日
Published Date 1984/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402218884
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一般に中枢神経系感染は,発熱,頭痛,悪心嘔吐,背部痛,羞明,複視,感覚・運動異常,精神機能障害,意識障害,痙攣などの症状,および髄膜刺激症状,脳圧亢進症状,脳神経障害,感覚・運動障害,深部反射異常,病的反射出現などの所見が病期に応じて見られる.乳児期では大泉門膨隆が重要な所見となる.しかし,新生児では元気がなく傾眠傾向のみで,他の所見が乏しいことがあり,高齢者では,軽い発熱と人格変化,軽度の意識障害のみの場合があり,診断には注意を要する.また脳卒中,糖尿病,肝硬変,尿毒症,アルコール中毒,免疫不全などの基礎疾患のある患者では中枢神経系感染の併存が見逃されやすい.一方,中枢神経系感染以外,たとえばサルコイドーシス,膠原病,各種中毒症,代謝異常,脱髄性疾患,クモ膜下出血,熱性痙攣などでも同様の症状,所見を呈することがあるので注意を要する.
以下最も重要な所見である髄膜刺激症状の解説と,各種疾患の臨床像の特徴を述べる.
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