臨時増刊特集 問題となるケースの治療のポイント
XII.癌
内科領域の固型癌の化学療法の実際
228.固形癌の化学療法の効果判定
涌井 昭
1
,
横山 正和
1
Akira Wakui
1
,
Masakazu Yokoyama
1
1東北大学抗酸菌病研究所・臨床癌化学療法部門
pp.2608-2609
発行日 1983年12月1日
Published Date 1983/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402218769
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従来わが国で用いられてきた固形癌に対する抗癌剤の効果判定法の多くは,客観性に乏しく統一性に欠け,癌化学療法の臨床開発上,重大な問題となっていた.このことから,最近合理的な新判定基準作成の要望がおこり,厚生省がん研究助成金による2研究班(小山班,斉藤班)の合同作業の結果,昭和55年に成立をみたものが「固形がん化学療法直接効果判定基準」1,2)である.本基準は国際的通用性をもそなえ,関連学会の承認をへて今日広く使用されるに到った.本基準の根幹は,化学療法の直接効果を腫瘍病巣自体の縮小の程度のみによって判定せんとするところにある.すなわち腫瘍病巣の変化と同等あるいはそれ以上の特異的かつ客観的な指標はないとの考えに立脚しており,したがって本基準では,ほかの自覚症状,他覚的所見は,効果判定上,直接的な指標として採用されていない.以下若干の解説を加えながら本基準の要点を述べる.
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