臨時増刊特集 問題となるケースの治療のポイント
XII.癌
内科領域の固型癌の化学療法の実際
227.手術不能例の化学療法の実際と限界—無意味な投薬をさけるために
栗原 稔
1
,
佐々木 容三
2
,
泉 嗣彦
2
Minoru Kurihara
1
,
Yozo Sasaki
2
,
Tsuguhiko Izumi
2
1昭和大学付属豊洲病院・内科
2順天堂大学医学部・内科
pp.2604-2606
発行日 1983年12月1日
Published Date 1983/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402218768
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大腸癌化学療法症例
症例
78歳男性.下血を主訴に来院.注腸造影(図1)で,S状結腸の巨大腫瘤による口側への造影剤通過障害を認めた.慢性腎不全と本人の手術拒否のため,図2に示すような抗癌化学療法にふみきった.FT-207(Futraful®)坐薬で,嘔気,食欲不振が生じたが,Futraful®腸溶粒の長期間投与で腫瘤の触知消失,便通も正常化,治療開始後8カ月の注腸造影(図3)で腫瘤の著明縮小を認め,口側も造影された.約1年4カ月の軽快期間後,再び腫瘤を触知,図示するような併用治療で腫瘤は触知不能となったが,再び徐々に悪化,全経過2年4カ月で死亡した.
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