臨時増刊特集 問題となるケースの治療のポイント
VII.腎疾患
問題となるケースの治療
150.急性腎炎の治癒判定と生活指導
永瀬 宗重
1
,
東條 静夫
1
Sohji Nagase
1
,
Shizuo Tojo
1
1筑波大学臨床医学系・内科
pp.2420-2421
発行日 1983年12月1日
Published Date 1983/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402218691
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急性腎炎は,典型的な例では明らかな先行感染を有し,1〜3週の潜伏期間をおいて急激に発症する,血尿,蛋白尿,浮腫,乏尿,高血圧,時に中等度の高窒素血症を呈する腎疾患である.先行感染としては,咽頭炎や皮膚膿痂疹の場合の溶連菌感染をはじめ,ブドウ球菌,肺炎球菌および種々のウイルス感染などがあげられるが,薬剤,毒素,放射線照射などの非感染性の原因による急性腎炎もある.しかし大部分は溶連菌感染後急性糸球体腎炎と考えて差し支えない.
一般にその予後は,小児期発症のものほど良好で治癒率が高く,年齢の増加とともに遷延化の傾向がみられる.また尿所見その他に基づいた臨床的治癒と,腎生検所見に基づいた組織学的治癒とは必ずしも平行せず,そこに急性腎炎の治癒判定の難しさがある.本稿では急性腎炎の治癒判定に関する諸説を俯瞰し,同時に生活指導の概略を述べる.
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