臨時増刊特集 これだけは知っておきたい診断のポイント
X.腎疾患
急性腎炎 VS 慢性腎炎の再燃型
稲毛 博実
1
,
東條 静夫
1
Hiromi INAGE
1
,
Shizuo TOJO
1
1筑波大学臨床医学系・内科
pp.2066-2067
発行日 1980年11月20日
Published Date 1980/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402216878
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なぜ鑑別が問題となるか
急性腎炎と慢性腎炎の再燃型の予後を比較すると,急性腎炎では,発症2週以内にすでに,蛋白尿のみを残し,血尿,高血圧のみられない静止性病態を示すものでは急性期内の治癒が多くみられるが,発症1ヵ月後に至っても蛋白尿以外に血尿,高血圧の両者を認めるか,明らかな血尿ないし高血圧のいずれかを示す活動性病態を呈するものでは,遷延慢性化の危険が大である.一方,慢性腎炎の再燃型では短期間内に血圧が正常化し,血尿もみられないものでは1ヵ年の経過内に潜伏型に移行するが,高血圧の固定化する場合は一般に腎機能も低下し,予後不良である.さらに,急性腎炎の場合の治癒では,糸球体の構造はほぼ正常かごく軽度の変化を示すにすぎないが,慢性腎炎では,その病型(とくに組織像)にもよるが,一応の臨床的治癒をみた段階でも,その組織像には部分的に糸球体硬化などの不可逆性病変の認められることがあり,日常生活の制限や特殊薬物療法を含めて十分な監視が必要とされることも多い.
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