臨時増刊特集 問題となるケースの治療のポイント
V.消化管・腹膜疾患
胃切除後の困難症の治療
105.逆流性食道炎
森 昌造
1
,
渡辺 正敏
1
Shozo Mori
1
,
Masatoshi Watanabe
1
1岩手医科大学・第1外科
pp.2314-2315
発行日 1983年12月1日
Published Date 1983/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402218646
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症例
47歳の男性.約1年前,早期胃癌で胃亜全摘兼Billroth I法を受けた.1カ月前から胸やけを自覚するようになり,その後胸骨後部痛,嚥下困難,胆汁の嘔吐などもみられ再入院となった.上部消化管透視ではヒス角の鈍化を伴う軽度の滑脱型食道裂孔ヘルニアとGER(gastroesophagealreflux)が認められた(図1).内視鏡検査ではびらん潰瘍型の食道炎と表在性胃炎が観察された.食道内圧測定でのLES(lower esophageal sphincter)圧は12mmHgと低値を示した.連続24時間食道pH測定1)では,通常の酸のGERは1時間当りの逆流回数0.3回,逆流時間2.2分であったが,アルカリの逆流(pH7以上)は,1時間当りの逆流回数と時間はそれぞれ1.5回と18.8分であった.以上の所見から主としてアルカリ逆流に起因する逆流性食道炎と診断した.
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