グラフ 臨床医のための電顕写真
肝臓・2
肝細胞癌の超微形態像
市田 隆文
1
,
佐々木 博
1
Takafumi Ichida
1
,
Hiroshi Sasaki
1
1富山医科薬科大学・第3内科
pp.1768-1771
発行日 1983年10月10日
Published Date 1983/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402218485
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肝細胞は肝臓を構成する細胞の93%を占め,これより発生する肝細胞癌は,近年,薬物を含む環境因子ならびに肝炎ウイルスとの関連より注目を浴びている.本稿では,ヒト肝細胞癌の超微形態学的特徴に関して述べる.
1)一般観察 臨床病理学上,目的とする腫瘍細胞が増殖中の生き生きした細胞か,変性しつつある細胞かの見きわめが大切である1).とくに肝細胞癌は腫瘍中心部が血流障害により壊死に陥ることが多く,図1に示すように同一組織内で変性過程にある部分と,形態の整った増殖中の腫瘍細胞が観察される.もう1つの特徴は,腫瘍細胞の分化度により,異型度,組織型,細胞質内小器官の発達,封入体の頻度などが異なることである.
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