病気のはなし
肝細胞癌
市田 隆文
1
,
佐々木 博
1
1富山医科薬科大学第三内科
pp.10-17
発行日 1983年1月1日
Published Date 1983/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543202662
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肝臓を構成する細胞には,上皮性成分として肝細胞と胆管上皮細胞,非上皮性成分として類洞壁を構成するKupffer細胞と内皮細胞,そのほかにDisse腔に存在する脂肪摂取細胞(伊東細胞)ならびに線維(芽)細胞などがあげられる.理論的にはこれら細胞のいずれからも悪性腫瘍発生は可能であるが,実際臨床面では肝細胞から発生する肝細胞癌(Hepatocellular carcinoma;HCC)が大半を占め,胆管上皮細胞から発生する胆管細胞癌(Cholangiocellular carcinoma;CCC)は比較的少なく,血管肉腫など非上皮性腫瘍はまれである.
一般に原発性肝癌(primary liver cancer;PLC,primary hepatic carcinoma;PHC)の呼称は臨床的名称であり,これには肝細胞癌と胆管細胞癌ならびに肝芽腫(Hepatoblastoma)が含まれる.なかでも,近年増加傾向にある肝細胞癌は臨床上もっとも重要であり,本稿では肝細胞癌を中心に病因,臨床上の特徴,診断ならびに治療に関して述べてみたい.
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