今月の主題 血小板の臨床
血小板の臨床
特発性血小板減少性紫斑病のγ-グロブリン大量療法
安部 英
1
,
松田 重三
1
Takeshi Abe
1
,
Jazo Matsuda
1
1帝京大学医学部・第1内科
pp.1680-1681
発行日 1983年10月10日
Published Date 1983/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402218462
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特発性血小板減少性紫斑病(ITP)の治療には,これまで対症療法的な血小板輸血のほか,免疫学的あるいは細胞・組織反応の立場からの副腎皮質ステロイド剤その他の免疫抑制剤の投与,さらにそれでも効果の得られないときは摘脾が行われてきた.しかしこれらで必ずしも満足できる血小板の増加,血小板機能の上昇,出血時間の正常化が得られるとは限らず,その上しばしば副作用さえも発現する.
1981年Imbachら1)は,ITPに対する新しい治療法として,小児のITP患者にγ-グロブリンを投与して有効であったことを報告したが,その後Newlandら2)は,成人のITPにγ-グロブリンを使用して効果のあることを確認した.わが国においても筆者ら3)をはじめ,安永4),赤塚5)ほか幾多の人によって試みられ,おおむね同様の効果をあげている.ここでは,筆者らが行った多施設のopen studyによる成績を中心に,自験症例の使用効果やγ-グロブリン(筆者らは主としてスイス赤十字社製のpH-4処理インタクト型のものを用いた)の,生体内投与あるいは試験管内添加を行ったリンパ球系細胞免疫および血小板機能に及ぼす影響について報告する.
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