今月の主題 肝硬変と肝癌
肝癌の画像診断—早期病変のみかた
腹腔鏡診断
島田 宜浩
1
Yoshihiro Shimada
1
1島根医科大学・第2内科
pp.1495-1500
発行日 1983年9月10日
Published Date 1983/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402218418
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血管造影,CT,超音波断層検査など画像診断における最近の進歩を背景にして,肝癌を中心とした局所性肝病変の診断法は飛躍的に向上しつつある.とくに肝癌の早期発見について,できる限りサイズの小さい肝癌の発見を目ざして,各種検査法の診断能が検討されている.現在のところでは,CTはほぼ直径20mmが限界で,それより小さいものは診断困難のようである.超音波断層検査はCTより小さい腫瘍も発見できるというが,部位または探触子よりの距離により,診断能が影響される.血管造影1)は直径10mmの肝細胞癌でも診断可能であったと報告され,現在のところ画像診断を代表する立場にあると評価されている.
腹腔鏡検査2,3)では,その観察可能範囲がかなり制限されているために,肝癌の発見率からは不利な立場にある.しかしながら,観察可能域にある病変については,直径1mm前後のものでも明瞭に観察しうるという利点をもっている.さらに直視下肝生検による組織診断法を加味すると,その価値はさらに大きい.
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