今月の主題 臨床医のための神経内科学
治療の現状
パーキンソン病
水野 美邦
1
Yoshikuni Mizuno
1
1自治医科大学・神経内科
pp.1306-1307
発行日 1983年8月10日
Published Date 1983/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402218385
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パーキンソン病治療の主流は,依然として末梢性dopa脱炭酸酵素阻害剤併用によるL-dopa療法であるが,初期の大量投与中心から可及的少量投与法へと変わってきている.また第1選択薬にL-dopaを用いるかどうかに関しても,最近は再び抗コリン剤にてADL(日常生活動作)の十分な改善の得られない場合にL-dopaを用いるという消極的な使用法に変わってきている.このような変遷をきたした第1の理由は,L-dopaによるADLの改善が長続きしないこと,長期使用により種々の問題点を生ずることがわかってきたことによる.短期間の使用で比較すれば,抗コリン剤も塩酸アマンタジンも,その効果においてL-dopaに及ばないが,上記の理由で再びその価値が見直される一方,L-dopaの出現によってもパーキンソン病の治療は解決にほど遠いことが認識され,今後さらに新しい治療法開発の努力が必要な段階である.本稿では,最初L-dopa長期治療に伴う問題点を簡単に解説し,最後にパーキンソン病治療に関する私見をまとめとして述べたいと思う.
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