今月の主題 免疫からみた腸疾患
腸疾患の治療
免疫療法
児玉 宏
1
,
戸部 隆吉
1
Hiroshi Kodama
1
,
Takayoshi Tobe
1
1京都大学医学部・第1外科
pp.240-241
発行日 1983年2月10日
Published Date 1983/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402218149
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近年,腸管の免疫機構に関する多くの知見が集積されてくるとともに,従来より成因不明とされてきた潰瘍性大腸炎やクローン病のような非特異的炎症性腸疾患の発生に免疫学的機作が関与していることが明らかになってきており,こうした疾患に対する免疫療法の試みが,なお限界があるものの成功をおさめつつある.この場合の免疫療法は,腸管における自己免疫機構を中心とする免疫異常に対して,これを是正するために免疫抑制作用のある薬剤を用いるものである.
一方,癌に対する免疫療法として,いくつかの免疫賦活剤が広く用いられるようになってきている.ことに消化管に発生した癌に対する第1の免疫応答の場として消化管付属リンパ組織gut-associated lymphoid tissue(GALT)が注目されるようになってきており,GALTをより効率よく賦活する方法として,免疫賦活剤の経口投与が検討されるようになってきている.
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