今月の主題 腎疾患診療のトピックス
その他の治療法
腎移植と術前輸血
落合 武徳
1
Takenori Ochiai
1
1千葉大学医学部・第2外科
pp.1618-1619
発行日 1982年9月10日
Published Date 1982/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402217926
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腎移植の現状
日本移植学会の行っている腎移植臨床登録によると,1981年12月末までに日本で行われた腎移植の総計は2,059回で,そのうち死体腎移植は358回,生体腎移植は1,701回である.1978年から80年までの3年間は1年間約250例であったが,1981年の1年間には356例が行われた.このうち死体腎移植は1979〜1980年までは年間約50例であったものが,1981年はアメリカからの輸入腎があったりして118例に増加した.1980年に行われた腎移植の成績は,生体腎移植の1年生存率94.4%,移植腎の1年生着率77.4%,死体腎移植の1年生存率73.9%,移植腎1年生着率39.8%である.最近の腎移植後の生存率は施設によっては100%近いところもあり,手術そのものは安全に行われるようになってきている.
移植腎の生着率の向上をさまたげている最大の原因は,免疫反応によってひき起こされる拒絶反応にある.今日までに拒絶反応を克服するために種々の努力がなされてきた.腎移植の成績に影響を与える因子として,donorやrecipientの年齢,性,人種,赤血球型,recipientの臨床状態,移植腎の状態,透析期間,recipientの患腎摘出の有無,脾臓摘出の有無,HLAの適合度,免疫抑制剤の種類などが考えられている.
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