今月の主題 腎疾患診療のトピックス
透析療法
膠原病による腎障害
詫摩 武英
1
Takehide Takuma
1
1東京女子医科大学腎臓病総合医療センター・内科
pp.1613-1615
発行日 1982年9月10日
Published Date 1982/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402217924
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膠原病の腎障害
数多い膠原病のうちで,全身性紅斑性狼瘡(SLE),全身性強皮症(PSS),結節性動脈周囲炎(PN),Wegener肉芽腫,Schönlein-Henoch紫斑病,Sjögren症候群,Goodpasture症候群の腎障害が臨床的に重要視されている.
これら諸疾患のうち,PSSは悪性腎硬化症の組織像で,高血圧,蛋白尿,急速に腎不全に至ることがある.しかし現在透析中のPSS例は僅少である.PNは臨床的に細分類される傾向があるが,古典的なKussmaul-Maier型PNでは,腎の症状は肉眼的血尿,蛋白尿,発熱,高血圧などがある期間持続し,いわゆる腎梗塞のそれが主体であって,腎不全に至ることは比較的少ない.Wegener肉芽腫では最初に鼻咽頭の症状,次に腎障害,末期に肺病変が現れる順序を踏む.腎は剖検で細小動脈のPN像,糸球体係蹄の壊死,半月形成,肉芽腫などが記載されている.臨床経過は急速進行性腎炎(RPGN)のそれである.現今では鼻の症状で診断され,ステロイドが投薬されて,腎および肺への病変の波及が防止されるので,透析例はごく少数である.Schönlein-Henoch症候群では,腎生検組織についてIgA腎症との異同が論議されている.両疾患の発症年齢,他臓器の症状,難治性ネフローゼ,RPGN,腎不全に至る頻度を検討すれば,共通点は少ない.
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