Japanese
English
特集 体液カルシウムのホメオスタシス
骨代謝とカルシウムホメオスタシス
Bone metabolism and Ca homeostasis
永田 直一
1
Naokazu Nagata
1
1防衛医科大学校第三内科
pp.137-142
発行日 1987年4月15日
Published Date 1987/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425904977
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
骨は生体内のCaの99.5%を有し,血清Caの変動を緩衝する機能をもつが,骨量を一定に保つその機能も生体にとって重要である。非生理的な状態を除いて腎および腸管のCa恒常性維持機構が作動して通常は骨量の大きな変動なくして血清Caは一定に保たれる。腎は骨とともに急速に反応しうる器官であるが,両器官の血清Ca是正への寄与をチックの実験でみると,Ca静注に対して骨のCa出納はほとんど変化しなくて尿中Ca排泄の増大があり,一方EDTA負荷では骨からのCa流出は著明に増大するという1)。短期の緩衝系としての骨はとくに低Ca血症に対して意義の大きいことが示唆される。Jarosら2)はブタの実験で血清Caの変化への各器官の対応の時間経過を5段階に分けている。筆者の解釈をまじえて紹介すると,第一段階(t1/2=15分),第二段階(t1/2=60〜90分)は後述の骨上層細胞を介したCa恒常性維持機構によるもので,とくに前者はカルチトニン(CT)依存性であるという。第三段階(t1/2=3〜4時間)は副甲状腺ホルモン(PTH)依存性の腎機能,第四段階(t1/2=数時間)はビタミンD依存性の腸管機能により,さらに第5段階(t1/2=数時間〜数日)は骨量の変化を伴う骨吸収の変化によるもので後述のremodelingが関与するとみられる。
本稿では血清Caレベルの恒常性維持機能と関連させて骨代謝の概要を述べる。
Copyright © 1987, THE ICHIRO KANEHARA FOUNDATION. All rights reserved.