今月の主題 癌治療の最前線
集学的治療
乳癌
冨永 健
1
Takeshi Tominaga
1
1東京都立駒込病院・外科
pp.1055-1057
発行日 1982年6月10日
Published Date 1982/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402217803
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乳癌は最近わが国においても急増の傾向にあり,婦人悪性腫瘍の中で子宮癌,胃癌についで多くみられる疾患である.年齢分布をみると20歳台から80歳以上に及んでおり,40歳台に最も多い.しかし,近年これが50歳台に近づき始めるとともに,70歳前後の高齢者にもピークが認められはじめ,いわゆる2峯性のパターンを示すようになってきており,欧米での年齢分布に似てきている.
乳癌が多くの他臓器癌と違う点は,その内分泌依存性にあり,この特性が治療の上で大きな役割を果たしている,すなわち,その増殖は下垂体,副腎,卵巣などの臓器と密接な関係にあり,閉経前後でも癌細胞の内分泌学的性格は異なっている.近年,乳癌細胞中のestrogen receptor(ER),progesterone receptor(PgR),prolactin receptorなどが測定できるようになってから,腫瘍の内分泌依存性を予測することが可能となり,臨床的にも成果をあげている.
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