Japanese
English
臨床研究
乳癌治療の統計的観察
A statistical analysis of surgical treatment for primary breast cancer
冨永 健
1
,
芝 茂
1
,
北村 正次
1
,
鄭 則之
1
,
田口 鉄男
1
,
大向 良和
1
,
藤田 昌英
1
,
高見 元敞
1
,
中野 陽典
1
,
高橋 明
1
,
薄金 真雄
1
,
前田 利信
1
Takeshi TOMINAGA
1
1大阪大学微生物病研究所附属病院外科
pp.97-102
発行日 1974年1月20日
Published Date 1974/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407205964
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はじめに
大阪大学微生物病研究所附属病院外科において,1951年以降,1972年6月末までに乳房切断術を行なつた乳癌症例について,とくに遠隔成績を中心として統計的な観察を行なつた.
この間,乳癌の診断法および治療方法を変更しており,とくに手術術式に変遷があつた.すなわち,初期においては,診断法は触診を主とし,これにbiopsyを併用して根治手術の適応を決めていたが,1957年以降は乳腺腫瘤を有する患者は原則としてすべて入院せしめ,excisional biopsyを行ない,ただちにfrozen sectionで組織診断を決定,悪性の場合はただちに根治手術,またfrozen sectionの標本で確定診断をつけ得ない場合はparaffin sectionのでき上るまでまち,その結果によつて手術を行なうか否かを決定した.しかし,最近マンモグラフィー等の補助的診断法の進歩もあり,また悪性の場合でもbiopsyと根治手術の間隔が,10日前後なら,特別の場合を除いて必ずしも予後に関係しないという乳癌研究会での統計成績等もあることから,malignancyの可能性が低いと考えられる場合は外来でbiopsyを行ない,paraffin sectionの結果を得てから方針をきめるように変つてきている.しかし,この場合でも剔出腫瘤に肉眼的にmalignancyのうたがいがあれば,すぐにfrozen sectionによる診断を行なうようにしている.
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