今月の主題 癌治療の最前線
集学的治療
肺癌
大熨 泰亮
1
Taisuke Ohnoshi
1
1岡山大学医学部・第2内科
pp.1050-1051
発行日 1982年6月10日
Published Date 1982/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402217801
- 有料閲覧
- 文献概要
肺癌の集学的治療(multidisciplinary treatment)とは,その治療成績の向上を目的として,診断から治療にいたる全過程において,関連するあらゆる領域の専門家の知識を集約し,その協力体制のもとで患者の管理を行うことを意味する.肺癌治療の場において集学的作業が最も要求されるのは個々の患者についての至適治療計画を立案する過程においてである.病理組織所見,病変の解剖学的な拡がり(病期),患者のvital organ capacityに基づき,肺癌に対する手術療法,放射線療法,化学療法など個々の治療様式の信頼限界を考慮に入れた総合的な治療計画の立案が,治療成績向上の第一歩であることは論をまたない.最近では集学的治療体系の中で,それぞれの治療法が持つ利点を助長し欠点を補うことを目的に,いくつかの治療様式を組み合わせた,いわゆる合併療法(multimodal treatment)が試みられつつある.
Copyright © 1982, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.