特集 高齢者の耳鼻咽喉科・頭頸部疾患—治療とリハビリのてびき
9.高齢者の薬物療法の一般的注意
⑧高齢者における抗癌剤治療
関根 郁夫
1
,
西條 長宏
2
1国立がんセンター中央病院内科
2国立がんセンター研究所薬効試験部
pp.179-183
発行日 1998年4月30日
Published Date 1998/4/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411902720
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はじめに
人口の高齢化によって癌患者のうちに占める高齢者の割合は増加しており,これらの患者に対する治療戦略を確立することは,現在の臨床腫瘍学における最も大切な主題の1つである。一般に高齢者では抗癌剤による毒性が強く現れ,治療効果も少ないと考えられている1)。しかし,実際に高齢者で行われた臨床研究で証明されたものは少なく,加齢による生理学的変化と一般成人におけるデータを結びつけて,高齢者の場合を推論していることが多い。また抗癌剤の毒性は,使う抗癌剤の種類と組み合わせ,そして毒性を評価する標的臓器によってそれぞれ異なるものであるために,一般論としては成立せず,1つ1つの項目を慎重に検討しなければならない。
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