講座 図解病態のしくみ 消化器疾患・23
Parenteral & Enteral Nutrition(2)—Protein-Calorie Malnutrition
松枝 啓
1
Kei MATSUEDA
1
1国立病院医療センター・消化器内科
pp.137-144
発行日 1982年1月10日
Published Date 1982/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402217603
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先月号では,Protein-Calorie Malnutritionの発生の基本的病態である飢餓と外傷時における代謝について述べた.すなわち,人間が生存するためには,脳や赤血球,白血球などにエネルギー源としてグルコースをたえず供給する必要があるにもかかわらず,人体における炭水化物の貯蔵はきわめて少量であり,肝臓にグリコーゲンとして75g貯えられているにすぎない.そのため,飢餓時,外傷時またはストレス負荷時におけるエネルギー源としてのグルコースは,その大部分が,筋肉組織に貯えられた蛋白質を分解して発生したアミノ酸と,脂肪組織の分解により生じたグリセロールから新生される.さらに,それらの状況下で急激に消費されるVisceral Proteinを合成して補給するために,骨格筋などが分解消費される.したがって,そのような飢餓,外傷またはストレス負荷時のCatabolismが亢進した状態が長期におよぶと,筋肉組織に貯蔵された蛋白質の枯渇や脂肪組織の消耗が起こり,Protein-Calorie Malnutritionが発生する.
このProtein-Calorie Malnutritionの発生は臨床上重篤な問題であり,患者の予後を左右する大きな因子の1つである.今月号では,このProtein-Calorie Malnutritionの評価の方法,発生頻度,そしてその結果として惹起される臨床上の問題点などについて述べたい.
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