臨時増刊特集 臨床医のためのCTスキャン
肝臓(上腹部の正常解剖を含めて)
肝細胞癌
pp.2173-2178
発行日 1981年11月20日
Published Date 1981/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402217477
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症例1 肝硬変+肝細胞癌(図5)
A.造影前,B.bolus injecton後,C.その2分後
Aでは肝右葉内側半が妙に丸い.小円形のはっきりとした低濃度影があり,この内側には輪郭の明確でない不整形の低濃度影がある.右葉の前方の低濃度影は輪郭が平滑ではないが,上下のスライスから胆のうといえる.したがって,この前内方は右葉内側区であり,これより左矢状裂を隔てて大きな左葉外側区が見られる.このアンバランスは肝硬変と合致する所見である.この外側区の輪郭は前方および後方(胃の内側)で弧状に突出しているが,外側区内にはあまりはっきりした濃度差はなく,2カ所に小さい低濃度影が見られるだけである.これは血管かもしれない.外側区と右葉の間に数個の類円形陰影が見られる.これは門脈,肝動脈,胆管およびプラスアルファであろう.位置,太さから肝門部の門脈は同定できることが多い.一方胆管は,拡張時には造影剤静注後は濃度差よりわかるが,通常は血管に似る.
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