臨時増刊特集 臨床医のためのCTスキャン
炎症性疾患(頭蓋内)
髄膜炎(meningitis)
pp.2100-2102
発行日 1981年11月20日
Published Date 1981/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402217453
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髄膜の感染症は稀には硬膜外,あるいは硬膜下腔に限局しておのおの硬膜外膿瘍(epidural abscess)や硬膜下蓄膿(subdural empyema)を生ずることもあるが,多くはクモ膜下腔でleptomeningitisの形をとる.この髄膜炎はさらに化膿性,肉芽腫性およびリンパ球性に分けられる.
化膿性髄膜炎3)(purulent meningitis)は連鎖球菌,ブドウ球菌,髄膜炎菌,肺炎球菌などの種々の化膿性細菌によるもので,感染経路としては,①遠隔炎症病巣からの血行感染,②開放性頭蓋骨骨折に伴う直接感染,③中耳感染症の直接波及または血栓性静脈洞炎を介する逆行性感染などが代表的である.髄膜炎の初期にはCT上,明らかな所見は見られないが,結合組織増殖のはじまる時期になると種々の所見が認められるようになる.髄膜炎にしばしば随伴する無菌性硬膜下水腫(Subdural effusion)は脳表をとりかこむ薄い三日月型の低吸収値陰影を呈し,これが細菌的に感染した硬膜下蓄膿(subdural empyema)では,その被膜部に線状の増強効果の見られることもある(図3).また,髄膜炎が脳室上衣まで波及すると脳室上衣炎(ependymitis)を生じ,CTでも脳室壁にそった増強効果や脳室壁の癒着による脳室変形などが描出されるようになる(図4).
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