病気のはなし
髄膜炎—クリプトコックス髄膜炎を中心に
池本 秀雄
1
1順天堂大学内科
pp.952-957
発行日 1979年12月1日
Published Date 1979/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543201959
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髄膜炎は中枢神経系感染症のなかでは最も重要なものである.脳の三つの被膜,すなわち硬膜,柔膜,くも膜の一つまたはすべての炎症を意味するが,一般には軟膜炎(leptomeningitis)を指し,柔膜とくも膜の多少ともび漫性の炎症である.硬膜の炎症には別に硬膜炎(pachymeningitis)という言葉がある.
髄膜炎症状を来すものに感染及び非感染因子がある.非感染性のものとしては転移癌(特にび漫性髄膜癌腫症),リンパ腫,白血病,アレルギー(血清病,狂犬病予防接種後脳炎),機械的因子(外傷,ミエログラフィー,腰椎麻酔),その他がある.非感染性のものでも髄液の異常所見や項部硬直,時には発熱がみられ,感染性のものとの鑑別が難しいことがある.
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