臨時増刊特集 臨床医のためのCTスキャン
後頭蓋窩腫瘍
脳実質外性腫瘍—聴神経鞘腫(Acoustic Neurinoma)
pp.2072-2073,2075
発行日 1981年11月20日
Published Date 1981/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402217440
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造影前のCTでは等吸収値ないし低吸収値(10〜20Hounsfield Unit)を示すため,腫瘍の拡がりを知る目的でも造影剤の使用を欠かすことはできない.造影後にはほぼ全例で何らかの増強効果(contrast enhancement)がみられ(20〜40 H),側頭骨錐体後部に接した形での腫瘍の局在が,明瞭となる.増強効果のパターンについてみると約半数以上のものが辺縁の明瞭な結節状を呈し,内部に嚢胞性成分と思われる低吸収域を含むこともあるが(図2),場合によっては完全に低吸収値の嚢胞性で,その壁に沿って環状の増強効果を呈することもある(図3).しかし,稀には低吸収値腫瘤でまったく増強効果を示さないこともあり,このような例では水溶性ヨード造影剤Metrizamideなどで拡大した脳槽を造影してCTを行うことにより,その中の陰影欠損像として,はじめて腫瘍の拡がりが明確となる(図4).
脳実質外性腫瘍であるので初期には脳実質を内側へ偏位しつつ発育するため,周囲のクモ膜下腔が拡大するのが特徴的であるが,さらに腫瘍が大きくなると脳槽の圧迫狭小化を示してくる.最も鑑別の困難なものは小脳橋角部の髄膜腫で,かなり類似したCT所見を呈しうることから,最終的には断層撮影における内耳道拡大の有無が決め手となることが多い(図2,6).
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