臨時増刊特集 臨床医のためのCTスキャン
脳血管障害(正常解剖を含めて)
クモ膜下出血
pp.2038,2040-2043
発行日 1981年11月20日
Published Date 1981/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402217427
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クモ膜下出血の主な原囚は動脈瘤,動静脈奇形,出血性素因,中毒などであり,脳内血腫がクモ膜下腔に破綻し続発性クモ膜下出血を惹起することもあるが,ここではクモ膜下出血の原因として最も多い動脈瘤と動静脈奇形についてのみ述べる.
クモ膜下出血におけるCTの有用性は脳槽内血腫,脳内血腫,脳室内血腫(図18)および随伴する脳梗塞(図19)を正確に描出しうる点にある.血腫は通常脳槽内の高吸収域として認められるが(図20),脳内血腫に比べX線吸収値の低下が速やかであるため発症早期にCTを行わねばならない.すなわち,発症後5〜7日以内に施行されたCTでは,75〜100%に脳槽内血腫を見出しうるが,7日目以後になるとほとんど血腫を指摘し得ないからである2,7).しかし脳槽内高吸収域の消失は必ずしも血腫の吸収のみによるものではなく,CT上,低吸収値を示す部位に手術時明らかな血腫の存在を認めることがある.また脳槽内血脈の広がりからある程度破裂動脈瘤の存在部位を推定できるが,このことは多発動脈瘤の場合とくに有用である(図18).動脈瘤自体がCTで描出されることも稀ではない(図21)が,現在のCTの解像力では詳細な形態学的観察は血管造影に頼らざるをえない.
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