臨時増刊特集 臨床医のためのCTスキャン
脳血管障害(正常解剖を含めて)
脳梗塞
pp.2044-2049
発行日 1981年11月20日
Published Date 1981/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402217428
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脳梗塞は発症24時問以内にはCT上何ら異常を示さないことが多く(図23-A),脳出血に比し一般に診断は困難である.しかし脳卒中発作が確実で,発作直後にCTを行えば脳出血は容易に除外され,脳梗塞と診断しても臨床上ほとんど問題はない.脳梗塞のCT像も時間の経過とともに変化し,24時間以内には所見を有さなかったものが次第に低吸収値を示す.発症後4〜7日目ではほぼ全例に低吸収域が認められ,mass effectを伴う場合もある3)(図23-B).発症後1カ月以上を経た陳旧性梗塞巣は血管支配領域に一致したクサビ型の辺縁明瞭な低吸収域を示し(図24),多くは同側の脳室拡大などの二次的萎縮性変化を呈する(図25).
CT開発初期の報告では脳梗塞は一般に増強効果を有さないとされていたが,近年かなり高頻度に増強効果を示すことが知られてきた9)(図26,27).この増強効果は発症1〜4週の間に約60%の頻度でみられ,時には低吸収値を示した梗塞巣が増強効果により脳実質とほぼ等しいX線吸収値を示し,かえって診断困難となることがあり,造影前CTの重要性が強調されている8).脳梗塞にみられる増強効果の機序は,いわゆるぜいたく灌流の部の毛細管床の拡張および梗塞巣における血液脳関門の破綻によると考えられている.
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