病気のはなし
クモ膜下出血
鈴木 二郎
1
,
片倉 隆一
2
1東北大学脳神経外科
2東北大学医学部脳神経外科
pp.122-126
発行日 1983年2月1日
Published Date 1983/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543205407
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
大切な脳は,三枚の性質の異なる脳膜に包まれています.脳と密着している極めて薄い膜は軟膜と言い,脳の形を整えていると言ってもよいものであり,その外側を包んでいる膜が問題のクモ膜です.
これはクモの巣を何枚か重ね合わせて水が漏れないようにした薄いヒラヒラとした感じの膜で,軟膜との間には水のようなきれいな液体,すなわち脳脊髄液が静かに流れてたまっています.クモ膜の外側には強靱な0.5mm程度の厚い膜がすっぽり脳を包んで脳を保護し,その上にさらに堅い頭蓋骨があり,皮膚や筋肉で,さらに厳重に脳は保護されています.大切な脳は,外力から,貴重品のように何重にも保護されていることがわかります.クモ膜下出血とは,クモ膜と軟膜との間の,水のたまっているすき間に突然出血する病気であり,その原因はいろいろあります.原因の80%は脳動脈瘤の破裂,10%は脳動静脈奇型の破裂によるものであり,残りは白血病とか血友病とかの血液疾患などです(表1).
Copyright © 1983, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.