臨時増刊特集 臨床医のためのCTスキャン
脳血管障害(正常解剖を含めて)
脳出血
pp.2035-2039
発行日 1981年11月20日
Published Date 1981/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402217426
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脳実質内血腫の大部分は,いわゆる高血圧性脳出血と呼ばれるものであり,破裂動脈瘤,動静脈奇形,腫瘍(図4),血液疾患(図5),抗凝固因子(図6)の使用などに原因の求められることはむしろ稀である.成因の如何にかかわらず,急性期の血腫自体はCT上比較的辺縁の明瞭な高吸収域としてとらえられる.現在のところ血液のX線吸収値は主としてヘモグロビン濃度によると考えられており5,6),急性期の血腫が高吸収値を示すのは血管外に漏出した血液が血漿成分の吸収により濃縮されてヘモグロビン濃度が高まるためであるとされている.血腫は発症後ごく早期から高吸収値を示し,周囲に帯状の低吸収域を伴う(図7-A).この低吸収域は,最近の報告によれば血腫の圧迫による周囲脳組織の急性乏血性壊死とする考えが有力である1).発症1〜2週頃より徐々に血腫の融解吸収が起こり,X線吸収値の低下がみられ始める.血腫は等吸収値から低吸収値へと移行を示し,通常1カ月後にはほとんど低吸収値を呈する.このようなX線吸収値の低下は必ずしも血腫の体積の減少を意味するのではなく,とくに等吸収値血腫の場合には周辺の脳室系に対するmasseffectなどから血腫量の減少を推定せねばならない.さらに時間を経過すると血腫は縮小しX線吸収値は脳脊髄液と同程度に低下し,ついには固定するものが多い(図7-B).
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