今月の主題 脳循環の基礎と臨床
脳循環障害の成因と病態
虚血性脳疾患の脳代謝
藤島 正敏
1
Masatoshi FUJISHIMA
1
1九州大学医学部・第2内科
pp.1712-1713
発行日 1981年10月10日
Published Date 1981/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402217355
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血中よりとり込まれたブドウ糖はピルビン酸へと代謝されるが,この過程は細胞質で行われ,酸素を必要としない(嫌気的解糖).さらに代謝は進みピルビン酸はacetyl Co Aに導かれ,オキザロ酢酸と結合してクエン酸回路(TCA cycle)を1回転する間にCO2とH+に分解される.このH+は電子伝達系に運搬され,酸素と結合しH2Oとなる(好気的解糖).この反応過程で多量のエネルギーが放出され,高エネルギー燐酸化合物であるATPが,1分子のブドウ糖から約30個あまり産生される(図1).
虚血低酸素血症のように酸素供給が低下した状態では,好気的解糖が障害されるためにATPの産生は抑えられる.一方,嫌気的解糖は正常の数倍に亢進し,組織内に乳酸が著しく増加する.
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