今月の主題 出血とその対策
吐血・下血
血管造影による診断と治療
草野 正一
1
Shoichi KUSANO
1
1北里大学医学部・放射線科
pp.760-761
発行日 1981年5月10日
Published Date 1981/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402217152
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消化器疾患の診断法として血管造影がまだ十分に臨床応用されていなかった約20年前から,血管造影で消化管出血を診断する試みが始められている.当時は血管造影が消化管出血を造影剤の血管外漏出像としてX線学的に直接証明できる唯一の診断法であったからであろう.その後,血管造影の手技は消化管出血の治療法として発達したために,緊急内視鏡検査が消化管出血の診断に普及した現在でも,消化管出血の管理に重要な役割を果たしている.しかしながら,近年経内視鏡的止血法も急速に発展しつつあり,血管造影を,今後,消化管出血の診断・治療にいかに対応させてゆくべきかは,日常診療の中で重要な課題となりつつある.
そこで,本稿では消化管出血に対する血管造影の適応,手技,問題点を整理しながら,現時点における血管造影の意義について解説したい.
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