今月の主題 臨床栄養学—最近の進歩
今日における栄養の諸問題
阿部 達夫
1
Tatsuo ABE
1
1東邦大学医学部・第2内科
pp.570-571
発行日 1981年4月10日
Published Date 1981/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402217101
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わが国で栄養学といえば,かつては不足の栄養学が中心であった.ビタミン欠乏症ことに脚気,熱量不足ことに動物性蛋白質の不足による低栄養などがとくに問題とされた.ところが経済の高度成長に伴って,わが国の食糧事情は著しく好転し,加えて米国指導による学校給食の普及などにより,従来の白米,みそ汁,漬物中心の食生活から,肉,卵,魚,牛乳などを中心とした食生活の欧米化をきたし,それに伴い不足の栄養学から過剰の栄養学へと転換してきたといってもよいであろう.
今日われわれ臨床家が,ことに内科医として栄養学を考える場合には,健康の保持・増進のための栄養,疾病予防のための栄養,そして疾病治療の手段としての栄養すなわち非経腸栄養をも含めた広い意味の食事療法がある.これらの点について二,三考えてみたい.
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