今月の主題 肺癌—最近の知識
肺癌の画像診断
X線所見の特徴
難波 煌冶
1
Koji NAMBA
1
1東海大学医学部・内科Ⅱ
pp.376-380
発行日 1981年3月10日
Published Date 1981/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402217063
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胸部X線写真の読影方法には色々な方法がある.たとえば肺野に表れた病影の形態を詳細に分析し,その実体を求めるという方法がある.これには数多くの症例を見,投影された病変に対する知識と病影を詳細に分析しうる経験が必要である.これに対し筆者らが行っている読影方法は病影と気管支,肺血管といった肺の既存構造との関係から,陰影の持つ病態を知ろうとする方法である.この方法は肺区域と気管支分岐の解剖学的知識さえあれば,経験はなくともある程度普遍的な読影ができると思われるからである.幸いなことに,肺という臓器には陰性造影剤として空気が充満しているために,太い気管支はair bronchogramとして気管支の走行を教えてくれるし,末梢側では血液の充満した肺血管の周囲には空気があり,肺血管影を浮き出させてくれる.
このような読影方法をとるためには,肺区域と気管支分岐の解剖を知る必要があるが,気管支の分岐さえ知っていれば,肺動脈は気管支に随伴しており,肺静脈は区域間すなわち気管支と気管支の間,換言すれば肺動脈間を走行している.したがって気管支の分岐さえ知っていれば,動静脈の区別もできるわけである.
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