今月の主題 糖尿病診療の現況
治療
スルフォニル尿素剤治療の現況
石渡 和男
1
Kazuo ISHIWATA
1
1朝日生命成人病研究所・内分泌代謝科
pp.62-63
発行日 1981年1月10日
Published Date 1981/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402217000
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UGDP論争が行われた1970年代の前半には,わが国でも糖尿療治療におけるスルフォニル尿素(SU)剤およびビグアナイド(BG)剤の価値について,否定的意見が強力に述べられたことがある.現在では,1979年2月に発表された米国糖尿病学会の見解にみられるように,UGDPの研究については,否定的な意見が世界の大勢になり,経口剤療法は再び正当に評価されるようになった.
Joslinによって近代糖尿病治療学が確立されて以来,糖尿病の治療は食事療法と運動療法の厳格な実施を前提として,インスリンや経口剤による薬物療法が行われるのが原則であったが,経口剤療法ではこの原則が守られないことがしばしばであった.UGDP論争を契機にして,原則にたちかえることが強く要請されるようになったのは世界的事実であり,歓迎されるべきことである.
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