綜説
日本の赤痢,疫痢と下痢腸炎考
佐藤 徳郎
1,2
,
岩戸 武雄
2,3
,
福山 富太郎
4
,
佐藤 喜代子
4
1国立公衆衛生院,栄養生化学部
2日大医学部,衛生
3国立公衆衛生院,衛生工学部
4東京医大,小児科教室
pp.320-328
発行日 1964年6月15日
Published Date 1964/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202830
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(1)日本の赤痢に対する大腸菌群検索の意義と対策
日本の下痢腸炎,赤疫痢による死亡は第2次大戦後急速に減少したが,西欧諸国に比較するとまだ非常に高い率を示している。抗生物質がそれらの減少に大きく寄与したことは疑いがないが,日本のようにその乱用に近い国で,何故死亡が西欧より多いのか,一つの大きな問題と考えられる。また疫痢は減少したものの赤痢死の半数以上を占めている。特に以前最も多かった東京,京都が全国で最低の死亡率であることは,疫痢の解決に光明を与える点であろう。
本報告では赤痢伝搬の要素を保菌者,患者の面から解析し,その対策として保菌者検索ではなく,大腸菌群検索を中心として予防刻策をすべきことを報告した。本報告に続いて二報以下に疫痢の本態的考察,日本の下痢腸炎の特徴とその対策に考察を加えた。
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