臨時増刊特集 これだけは知っておきたい診断のポイント
VI.代謝・栄養障害
肝性糖尿病 VS 特発性糖尿病
後藤 由夫
1
Yoshio GOTO
1
1東北大学医学部・第3内科
pp.1980-1981
発行日 1980年11月20日
Published Date 1980/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402216840
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なぜ鑑別が問題となるか
糖尿病は古くは真性と偽性とに分類され,インスリン発見後は島性と島外性に分けられ,1950年代には一次性(遺伝性)と二次性(非遺伝性)に分けられたが,最近は(特発性)糖尿病と特定の疾患や状態に起因する糖尿病とに分類されている.肝疾患に伴う糖尿病は後者に入り肝性糖尿病と呼ばれている.
肝疾患とくに脂肪肝,慢性肝炎,肝硬変ではおよそ1/3に糖尿病がみられ,とくに脂肪肝ではその率が高い.肝細胞の糖処理機能の低下がその主な原因であるが,そのほかに末梢組織でインスリン効果が現れにくくインスリン抵抗性となることも1つの理由となっている.また,剖検例をみると,その大部分で膵に線維化やラ島細胞の変化も認められており,肝疾患で耐糖能低下の起こる機序は完全に解明されたわけではない.
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