臨時増刊特集 これだけは知っておきたい診断のポイント
I.循環器疾患
大動脈弁狭窄症 VS 特発性肥厚性大動脈弁下狭窄(IHSS)
堀 健次郎
1
Kenjiro HORI
1
1天理よろづ相談所病院・循環器内科
pp.1844-1845
発行日 1980年11月20日
Published Date 1980/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402216781
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なぜ鑑別が問題となるか
比較的若年者で,初診時大動脈弁に起因すると思われる駆出性雑音をきく場合,両者の鑑別が問題となる.外来では心電図,胸部X線が主な検査であり,これのみでは鑑別困難な場合がある.したがって,両者の血行動態の差異を十分理解しておれば,聴診に工夫をこらし,さらに脈波の差異,心エコー図を参照すれば,さほど両者の鑑別診断は困難ではないと思われる.なお,IHSS(特発性肥厚性大動脈弁下狭窄)は,Braunwaldが記載した時代から,研究の進歩が著しく,心エコー図が診断に用いられる昨今,やや様相を異にしてきた.IHSSの典型例,すなわち左室流出路狭窄例はむしろ少なく,異常に発育した乳頭筋による左心室の狭窄例が多いように思われる.したがってHOCM(肥大型閉塞性心筋症)とした方が妥当かもしれない.以下,本文で補足しながら述べる.
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