オスラー博士の生涯・88
医学の座右銘(The Master-word)(その1)—医学生へのメッセージ
日野原 重明
1
,
仁木 久恵
1
Shigeaki HINOHORA
1
,
Hisae NIKI
1
1聖路加看護大学
pp.1808-1813
発行日 1980年11月10日
Published Date 1980/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402216774
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ウィリアム・オスラーは,1849年カナダのオンタリオ州に生まれ,18歳の時にトロントのトリニティ大学文科に入学し,将来牧師となるための勉強を始めた。ここでは神学を教えたジョンソン牧師と生物学を教えたボペル教授とが,ともに生物学の愛好者であったことから,オスラーはこの二人の先生の感化を大いに受けた.翌年,オスラーは医科へ転向したいと望み,これを了承したボベル教授は,彼を自分が教えているトロントの医学校へ迎えた.オスラーはここで,基礎医学を勉強したのち,1870年にはモントリオールに移り,マックギル大学の医学部で臨床医学の勉強をした.この大学を卒業して欧州に留学した後,再び母校で研究を始め,医学通論の講義などもしたが,その後ペンシルバニァ大学の内科教授に招かれた.また1889年には,新しく創設されるジョンス・ホプキンス大学医学部の内科教授として,ボルティモアに赴任したのである。その後の彼の内科学者ならびに臨床家,教育者としての活躍には目覚ましいものがあった.
オスラーは,方々の医学校や医学会の講演を頼まれることが多かったが,1903年の秋には彼の母校トロント大学に生理学の実験研究室を備えた新館が落成し,その祝賀式に特別講演を頼まれた.その時の医学生へのメッセージが,この「医学の座右銘」である。
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