Japanese
English
第1土曜特集 性差医学の現在地――最新知識とエビデンス
薬物動態の性差
Sex differences in pharmacokinetics
清水 聡史
1
,
若林 聖士
1
,
黒川 洵子
1
Satoshi SHIMIZU
1
,
Masashi WAKABAYASHI
1
,
Junko KUROKAWA
1
1静岡県立大学薬学部生体情報分子解析学分野
キーワード:
副作用
,
ADME
,
性差
,
腎排泄
Keyword:
副作用
,
ADME
,
性差
,
腎排泄
pp.904-908
発行日 2024年9月7日
Published Date 2024/9/7
DOI https://doi.org/10.32118/ayu290100904
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
薬物動態とは,薬物が体内に投与されてから排泄されるまでの過程を指し,吸収(absorption),分布(distribution),代謝(metabolism),排泄(excretion)の4つの過程がある.これらの過程には性差が存在し,男女で生理学的過程や分子機構が異なることが報告されている.薬物動態の性差は,薬物の効能や副作用の発現に影響を与える.経口投与では,男性の消化管通過時間が短く,P-glycoprotein(P-gp)の発現が高いため,女性のほうが薬物の吸収効率が高い場合がある.吸入薬では,男性の肺胞表面積が大きいため,薬物の血中濃度が高くなる傾向がある.薬物の分布,代謝,排泄過程でも性差が認められ,特にシトクロムP450(CYP)酵素の活性や腎排泄の速度に違いがみられる.最近では,膜プロテオミクスやシングルセル解析などの新技術が導入され,性差のメカニズムが少しずつ明らかになりつつある.今後,性差を考慮した薬物治療が進展し,より適切な医薬品の使用が期待される.
Copyright © 2024 Ishiyaku Pub,Inc. All Rights Reserved.