臨時増刊特集 診断基準とその使い方
IV.肝・胆道・膵疾患
膵炎
小田 正幸
1
,
本間 達二
1
1信州大第2内科
pp.1851-1853
発行日 1977年12月5日
Published Date 1977/12/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402207530
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急性膵炎と慢性膵炎
膵炎はその臨床経過から,急性膵炎と慢性膵炎とに分けられる.1963年マルセーユでの膵炎のシンポジウム1)で,①急性膵炎,②再発性急性膵炎,③慢性再発性膵炎,④慢性膵炎の4つに分類され,現状では一応妥当なものとして採用されている.図のように,症状・膵機能を経過とともに概観することもできるが,ここにみるように,急性の膵炎は可逆性の変化であり,慢性の膵炎は進行性の変化という点が要点である.
したがって,1回の急性発作のときに「急性膵炎」か,「慢性膵炎」の急性期かを区別することはできない.逆に膵外分泌機能検査をして外分泌機能低下が認められても,「慢性膵炎」か,発作の軽度の「急性膵炎」の膵機能低下時期のものかを区別することもやはりできない.このようなとき,「急性膵炎」か「慢性膵炎」かを区別せず,単に「膵炎」とするのは臨床上やむをえないことであるし,欧米の文献ではしばしば「膵炎」と一括している.そのようなときでも急性発作の寛解時には各種膵検査を施行して,上述の4型のいずれかを診断して経過を観察するのは予後の面からも必要なことである.
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