今月の主題 膵と胆道疾患
診断のすすめ方
急性膵炎の診断のすすめ方
早川 哲夫
1
Tetsuo HAYAKAWA
1
1名古屋大学医学部・第2内科
pp.1332-1334
発行日 1980年9月10日
Published Date 1980/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402216661
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急性膵炎は上腹部の激痛をもって突然に発症し,しばしば重篤な全身症状を呈するため,急性腹症と同様に,診断確定に時間を費やすことなくただちに治療が必要となる.本症は致命率が高く,最近でも5〜15%と報告されており,壊死型膵炎では40〜50%ときわめて高い死亡率である.
本症の治療の原則は強力な内科的治療である.一方,急性腹症の多くは緊急手術を要するものが多く,時機を逸すれば予後はきわめて不良となる.本症の診断が的確であれば,不要な手術侵襲をさけることができる.緊急手術の必要な急性腹症を,誤まって保存的に治療すれば致命的な結果を招く,本症の診断に際しては,ほかの急性腹症との鑑別が中心となる.診断に用いる検査も患者の負担が軽く,方法が簡単で結果が早くわかる方法でないと実用となりがたい.図1に本症診断の概略を示した.
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