今月の主題 最近の腎疾患の基礎と臨床
腎疾患の病態
尿細管障害―酵素活性の面から
遠藤 仁
1
Hitoshi ENDOU
1
1東大医学部・薬理学
pp.490-492
発行日 1980年4月10日
Published Date 1980/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402216469
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はじめに
尿細管障害の存在を判定する手段として,尿中に排泄される酵素を測定することは有意義と思われる.しかしそれら酵素の起源が確実に尿細管由来であることを裏付けられない限り,その評価は曖昧になってしまう.すなわち,血液-腎(尿細管)-尿という3つの連続する尿生成の過程で,尿中に出現する酵素が血液に存在しない酵素であれば,その酵素は尿細管特異酵素として理想的といえる.
しかも尿細管に一様に分布しておらず,尿細管の特有な部分にのみ存在する酵素が,尿細管全長に亘って幾種類か存在が確かめられれば話は至極簡単である.すでに腎ネフロン内諸酵素の分布は組織化学的手法で調べられているが1),上述のように,明瞭な解釈が尿細管障害の際に,はたして当てはめうるか否かを試みた筆者らの実験を中心に,以下に述べる.
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