今月の主題 末梢性ニューロパチー
最近注目されているニューロパチー
Neuralgic Amyotrophy
塚越 廣
1
,
栢沼 勝彦
2
Hiroshi THUKAGOSHI
1
,
Kathuhiko KAYANUMA
2
1信州大学医学部・第3内科
2信州大学医学部・内科
pp.224-225
発行日 1980年2月10日
Published Date 1980/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402216410
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はじめに
Neuralgic amyotrophyは,突然肩甲帯から上腕にかけての神経痛様の激痛で発症し,それに随伴または続発して同部の弛緩性麻痺と筋萎縮をきたし,予後が良好でほとんどの例で完全寛解を示すという特徴的な臨床像を呈する疾患である.本症は1940年代英国の軍隊で多発することから注目され,1948年ParsonageとTurner1)により初めて総括されneuralgic amyotrophyと命名され,以後報告者によりacute shoulder neuritis,paralytic-brachial neuritis,Parsonage-Turner syndrome,brachial plexus neuropathy2)など種々の名称で記載されている.
本症の発症機序については不詳で,これが一つの疾患概念か単なる症候名かは報告者により一定していない.厳密にはまったく基礎疾患の見い出されない特発例のみをneuralgic amyotrophyとする立場もあるが,一般には感染,血清注射,免疫療法などに随伴して現れるものも本症に含める.また家族性発症例3,4)や再発例4)の報告も散見される.近年Bradleyら4)は,本症をacute-nontraumatic brachial plexus neuropathyのうち,家族性のもの(後述)および痛みを伴わないものを除外したsubgroupとして位置づけている.
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