今月の主題 末梢性ニューロパチー
最近注目されているニューロパチー
色素沈着,剛毛,浮腫,免疫グロブリン異常を伴う慢性多発性神経炎
西谷 裕
1
Hiroshi NISHITANI
1
1国立療養所宇多野病院・神経内科
pp.222-223
発行日 1980年2月10日
Published Date 1980/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402216409
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はじめに
本症候群は血清の蛋白異常,とくに形質細胞腫と密接に関連して,亜急性ないし慢性に進行する知覚,運動性ポリニューロパチーである.ことに本邦の報告例では表1,2)にみられるごとく,全身の著明な色素沈着,浮腫,剛毛,糖尿病,女性化乳房,陰萎などの多彩な臨床症状を伴うために,その成因について最近とくに注目されている3〜5).
形質細胞腫が直接的な骨破壊,細胞浸潤などによらないニューロパチーを合併する頻度は3〜15%と推定されている.DavisとDrachman(1972)6)は,文献上より46例の本症候群を集め,それの頻度が必ずしも稀ではなく,その80%の症例で神経症状が骨髄腫の発見よりも先行していたことを指摘している.したがって,そのニューロパチーの詳細な観察と,本邦例の多くにみられるような他の手がかりとなる徴候とを組み合わせれば,原因不明のポリニューロパチーから本症候群の発見される頻度はさらに高まるものと推定される.これは,本症候群では種々の治療が可能6)なこととあわせて,きわめて重要なことと思われる.
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